日中韓漢字比較

■目的
 日本・中国・韓国の三国の漢字の読み(日本については音読みに注目する)を比較することによって、漢字の読みの伝わった年代、地理的条件を読み取り、東アジアの文化の交流の実態を調べるとともに、同じ漢字文化圏として互いの言語習得がより容易になるべく読み方の変化の法則性を見つける。

■用いるデータベース
 本来は日中韓三国に偏りなく漢字を選ぶべきであるが、その取捨選択が難しいので今回は日本の常用漢字1945字を対象とした。1945字の日本の音読みを漢音・呉音・唐音・慣用音に分けて記入し、韓国の漢字読み、中国のピンイン表記を併記した。母音・子音の分割が分析に不可欠であるのでローマ字を用いて表記することとし、表記法については以下の規則に従った。

▼日本
 訓令式を基本としたが、ワ行およびダ行において「ヰ」「ヱ」「ヂ」「ヅ」をそれぞれ「wi」「we」「di」「du」と表し、ア行ヤ行の「イ」「エ」およびザ行の「ジ」「ズ」との区別を可能にした。  母音はa,i,u,e,oを基本としたが拗音ya,yu,yoおよび長音ou,uu,au,eu等も一つの母音としてみなして一マスに収めた。  子音成分が二つある読み(カク、リツなど)は二つ目の子音成分を子音+母音で一つとみなした。
以上より「火」はk-wa、「日」はz-i-tuなどとなる。

▼韓国
 1959年公布の文教部1959方式を採用した。単漢字の場合はどの方式を採用してもさほど変わらないのだが、ハングル表記とアルファベット表記の1対1対応を重視するために1959方式とした。

▼中国
 ピンイン表記法にしたがった。

■参考文献
▼日本
 新明解漢和辞典(第四版)(長澤規矩也・原田種成・戸川芳郎/三省堂)
▼韓国
 朝鮮語辞典(共同編集/小学館・金星出版社)
 http://hanja_dic.zonmal.com/(日本語や中国語の読みも併記する良質のオンライン漢字字典)
▼中国
 PinConv(フリーソフト)(http://homepage3.nifty.com/Ctrans/)
 中日辞典(第二版)(相原茂/講談社)

このデータベースはWEB上で動くデータベースとすることを主眼として着手したものであるが、暫定的に表計算ファイルにて配布する。

こちらを右クリックして保存してください。

■表計算ファイルの活用法
 表計算ソフトにはオートフィルタという機能がついている。これを利用して仮にではあるが分析を試みることができる。

 あらかじめオートフィルタを設定してある。プルダウンメニューから調べたい母音や子音を選択すれば自動的に選択した母音や子音にあてはまるデータのみが抽出される。

漢音で[ka]と読むものを条件にフィルタをかけると呉音でge,ga,ke,ka、韓国語でga,ha,gae、中国語でxia,he,jia,ge,he,keに絞られた。これらがどう関連しているのかを見る。

このような分析を多方向からおこなう。
また、母集団となる漢字リストもゆくゆくは増やしていく予定である。